歯周病は治る病気ですか?¦歯周病に関する疑問にお答えします


「歯科医院に通っているのになぜ歯周病が改善されないのだろうと感じていませんか?」
「治療を重ねても症状が続く、その理由は何なのでしょうか?」

そんな疑問をお持ちの方もいるかもしれません。

実は、歯周病を歯科医院での治療のみで完治させることは難しいのです。

なぜなら、歯科医院での治療だけでは根本的な解決には至らないからです。
この理由について、そして歯周病の正しい治療法について詳しくご説明します。

歯周病は本当に治るのでしょうか?

残念ながら、歯周病は根本的に「治る」という状態にはなりません。ここで言う「治らない」とは、病気が発生する前の完全な健康状態に戻すことが困難であるという意味です。
しかし、病気の進行を止め、炎症を抑えることで、健康に近い状態へと導くことは可能です。
そのためには、適切な歯科治療と日々のセルフケアが不可欠です。
それでは、どのような治療法があるのかをお伝えしていきます。

歯科医院で行われる具体的な治療法

歯科医院での歯周病の治療は主に、歯垢や歯石の除去を中心に行われます。

歯周病治療にはなぜ複数回の通院が必要なのか

一度進行した歯周病は、歯の表面だけではなく、歯周ポケット内部にも細菌が蓄積されます。病気が進んだ状態では、これらのポケット内の汚れを完全に取り除く必要があり、時には局所麻酔を必要とする場合があります。身体への負担や、長時間にわたる治療を考慮すると、一度の治療で全ての歯を処置するのは現実的ではありません。したがって、数回に分けて通院する必要があるのです。

そして、歯周病の治療を成功させるには、歯科医院でのクリーニングだけでは不十分で、自宅でのケアが非常に重要です。歯科医院できれいにしてもらったとしても、家庭でのセルフケアが不十分だと、努力や費用が無駄になってしまう可能性があります。

歯石の主成分であるプラークは、2日程度で固まり始めると言われています。つまり、2日間で元の状態に戻ってしまうわけです。このため、自宅での適切なセルフケアによるプラークコントロールが極めて重要となります。

プラークコントロールが歯周病治療成功の鍵を握る

歯周病治療を効果的に進めるためには、"プラークコントロール"が非常に重要です。

成人の口内の細菌は、歯を丁寧に磨く人でも1000億〜2000億個、磨かない人では最大で1兆個にも及ぶと言われています。プラークコントロールとは、これら歯周病の原因となる細菌の数をできるだけ減らすことです。

歯ブラシだけでなく、デンタルフロス、歯間ブラシ、ワンタフトブラシなどを使い、物理的にプラークを除去することが含まれます。

多くの人が自己流のケアを行っていますが、たとえ自信があっても、約80%の人が磨き残しをしていると言われています。歯科医師でさえ完璧なブラッシングは難しいため、定期的なチェックと指導が不可欠です。皆さんも歯科衛生士による定期的な清掃状態のチェックや磨き方のアドバイスを受け、それを実践することが勧められます。また、プラーク染色液を使用して視覚的にプラークの存在をチェックするのも良い方法です。

食生活もプラークコントロールには重要です。間食を多くすると、常に口の中に細菌を持っている状態になりますから、歯磨きの回数も増え、プラークコントロールがより困難になります。

まとめ

歯科医院での基本的な歯周治療を受けているからといって、セルフケアを怠ると治療効果が薄れてしまいます。これは非常にもったいないことです。たとえば、週に2回ジムで運動しながら家では好きなものを食べ続けるようなものです。歯科医院での治療と同じくらい、正しいプラークコントロールを実践して、歯周病治療の成功に結びつけたいものです。

また、適切な歯周病治療とメンテナンスを続けることで、全身疾患のリスクが低減され、10万円以上の医療費も削減されるというデータもあります。生涯医療費を考えれば、その節約額は莫大になるでしょう。