歯科医院の衛生管理はどこまで?見えないところで行っていること

「この器具、前の人にも使ったのだろうか」——歯科医院で、ふとそんなことを考えたことはありませんか。口の中に直接入るものですから、気になるのは自然なことだと思います。

けれども、衛生管理の作業はほとんどが診療室の外で行われます。患者さんの目に触れないため、どこまでやっているのかが伝わりにくいのが実際のところです。大阪市西区・九条の当院で行っていることを、この機会にご説明します。

なお、こうした対策にかかる費用を自由診療(保険適用外)として別途いただくことはありません。すべての方に同じ体制でお受けいただいています。

目次

  1. 器具は使うたびに処理します
  2. 使い捨てにするもの
  3. 歯を削るときの器具も交換します
  4. 治療に使う水のこと
  5. 機能水を使っています
  6. 診療室の空気のこと
  7. 聞いていただいて構いません
  8. まとめ|見えないところこそ、省けません

1. 器具は使うたびに処理します

口の中に入れる器具は、患者さんごとに交換し、洗浄・消毒・滅菌の工程を経てから再び使います。見た目にきれいであることと、細菌がいない状態であることは別です。目視で判断せず、決められた手順で処理することが基本になります。

洗浄・消毒・滅菌は別の工程です

洗浄は汚れを落とすこと、消毒は細菌の数を減らすこと、滅菌はすべての微生物を死滅させることを指します。滅菌は洗浄が済んでいることが前提で、汚れが残ったままでは効果が届きません。順番を守ることに意味があります。

器具の処理の流れ 1 洗浄 汚れを物理的に落とす 2 乾燥・注油 器具の種類に応じて 3 滅菌 高温高圧で処理する 4 個別に保管 使う直前に開封 汚れが残ったままでは、滅菌の効果が届きません

▲ この工程を、使うたびに繰り返しています

2. 使い捨てにするもの

紙コップ、エプロン、手袋、針。これらは患者さんごとに新しいものを使い、使用後は廃棄します。処理を繰り返すよりも、使い捨てにするほうが確実な場合があるためです。器具の種類ごとに、どちらの方法が適しているかを分けて考えています。

目の前で開封するもの

滅菌が済んだ器具は袋に入れて保管し、使う直前に開封します。診療の場で袋を開けているのを見かけられたことがあるかもしれません。あれは、保管中に汚染されていないことを確かめる意味もあります。袋には滅菌が済んだことを示す表示が付いており、処理が正しく行われたかどうかをその都度確認できるようになっています。開封の瞬間まで清潔な状態が保たれていることを、目で見て確かめられる仕組みです。

扱いを分けています 1 使い捨て 手袋・紙コップ 使用後は廃棄 2 滅菌して再使用 金属の器具など 毎回処理する 3 個別に包装 使う直前に開ける 保管中も清潔に 4 表面の消毒 チェアや取っ手 患者さんごとに どちらが適しているかは、器具の種類によって変わります

▲ 確実な方法を、器具ごとに選んでいます

3. 歯を削るときの器具も交換します

歯を削る機械の先端部分は、内部に細かい構造があり、処理が難しい器具のひとつです。当院では、この部分についても患者さんごとに交換し、専用の機械で内部まで洗浄・注油したうえで滅菌しています。本数を揃えておく必要があるため、手間と費用のかかる部分です。

外からは見えない工程です

この処理は診療室の外で行われるため、患者さんの目に触れることはありません。時間もかかります。それでも省けない工程だと考えていますので、あえてこの機会にお伝えしておきたいと思いました。

見えるところ・見えないところ 見えるところ ・手袋とマスクの交換 ・袋を開けて器具を出す ・チェアや台の表面を拭く ・紙コップとエプロンの交換 ・手指の消毒 見えないところ ・使用後の器具の洗浄 ・削る機械の内部の洗浄と注油 ・高温高圧での滅菌処理 ・滅菌が済んだ器具の保管管理 ・水を通す管の清掃

▲ 作業の大半は、診療室の外で行われています

4. 治療に使う水のこと

意外に思われるかもしれませんが、歯科では水の管理も重要です。歯を削るときや口をゆすぐときに使う水は、細い管を通って口元まで届きます。この管の中は、使わない時間が続くと細菌が増えやすい環境になります。

管の中を清潔に保つ工夫

当院では、診療の前後に管の中を洗い流し、水の質を保つための処理を行っています。目に見える部分ではありませんが、口の中に直接触れるものですので、器具と同じように扱う必要があると考えています。

口に触れるものは器具だけではありません 水も 管理します 器具 滅菌して患者ごとに交換 治療に使う水 管の中を清潔に保つ 設備の表面 触れる場所を都度消毒 管理の方法は設備によって異なります

▲ 水も、口の中に直接触れるものの一つです

5. 機能水を使っています

当院では、洗浄や消毒の目的で機能水を用いています。薬剤の刺激を抑えながら清潔さを保てることが利点です。口をゆすぐ際に使うこともあり、薬品の味やにおいが苦手な方にも受け入れていただきやすいと考えています。

刺激の少なさは続けやすさにつながります

刺激が強いものは、その場では効果があっても、続けて使うのが難しくなります。日々の診療で繰り返し使うものだからこそ、刺激の少なさには意味があります。詳しくは機能水のページでご説明しています。

衛生管理で行っていること 比較項目 行っていること 目的 器具の滅菌 高温高圧で処理 微生物を死滅させる 患者ごとの交換 削る機械も含む 持ち越しを防ぐ 使い捨ての活用 手袋・紙コップ 処理の不確実さを避ける 表面の消毒 チェア・取っ手 手を介した移動を防ぐ 水の管理 管の中を洗浄 口に入る水を清潔に 機能水の使用 洗浄・消毒に 刺激を抑えて清潔に 空気の管理 換気と吸引 飛散したものを減らす

▲ それぞれに目的があり、省くことはできません

6. 診療室の空気のこと

歯を削るときには、細かい水滴が飛び散ります。これを吸い込む装置を使い、あわせて換気を行うことで、空気中に漂うものを減らしています。目に見えないため実感しにくい部分ですが、こちらも管理の対象です。吸引の装置は、削っている場所のすぐ近くに当てることで効果が高まります。治療中に器具を口元へ寄せているのは、そのためでもあります。

待合室でも配慮しています

換気や座席の間隔、手指消毒の設置など、待合室での対応も続けています。体調がすぐれない場合は、無理をせず予約の変更をご連絡ください。日程の調整は柔軟に対応いたします。

受診の際にご協力いただきたいこと 体調がすぐれないときは連絡を 服用中の薬をお知らせください アレルギーの有無を伝える 気になることは受付で相談する 予約時間に余裕をもってお越しを 手指消毒にご協力ください 体調がすぐれない場合は、遠慮なく予約の変更をご連絡ください

▲ 安心してお過ごしいただくためのお願いです

7. 聞いていただいて構いません

衛生管理について質問することは、失礼なことでも何でもありません。どのように処理しているのかを知っておきたいというのは、当然のお気持ちだと思います。当院ではご質問をいただければ、その場でご説明しています。

説明できることが前提だと考えています

行っている内容を説明できないようであれば、それは体制として不十分だということになります。見えないところの作業だからこそ、聞かれたときに答えられる状態にしておく。そうした姿勢で日々の診療にあたっています。

一日の中での衛生管理 診療前 準備 水の管を洗い流す 器具を揃える 患者ごと 交換と消毒 器具・手袋・表面 毎回繰り返す 使用後 洗浄と滅菌 診療室の外で 工程を守って処理 診療後 全体の清掃 設備と室内 翌日の準備まで 内容は設備や診療の状況によって異なります

▲ 診療の前後にも、それぞれ作業があります

まとめ|見えないところこそ、省けません

歯科の衛生管理は、その大半が診療室の外で行われます。口の中に入れる器具は患者さんごとに交換し、洗浄・消毒・滅菌の工程を経てから再び使います。歯を削る機械の先端も同様に交換し、内部まで洗浄したうえで滅菌しています。手袋や紙コップのように、使い捨てにするほうが確実なものは使い捨てにしています。

器具だけでなく、治療に使う水や設備の表面、診療室の空気も管理の対象です。当院では洗浄や消毒に機能水を用いており、刺激を抑えながら清潔さを保つようにしています。こうした対策のために別途費用をいただくことはありません。気になることがあれば、遠慮なくおたずねください。大阪市西区・九条のうえすぎ歯科クリニックでご説明いたします。

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出典・参考資料

  • 厚生労働省「歯科医療機関における院内感染対策」
  • 一般社団法人 日本歯科医学会
  • 公益社団法人 日本歯科医師会「テーマパーク8020」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療の経過・効果には個人差があります。詳しくは歯科医師にご相談ください。