お口ぽかんは歯並びに影響する?口呼吸と舌の位置の話

テレビを見ているお子さんの口が、いつも開いている。寝ているときに口が開いていて、朝はのどが渇いている——大阪市西区・九条の当院では、こうしたご相談をいただくことがあります。

口が開いていること自体は、一見すると癖のように見えます。ところがこの状態が続くと、歯並びやあごの成長に影響することが知られています。この記事では、なぜそうなるのか、そして何を確認すればよいのかを整理します。大人の方にも関係する話です。

目次

  1. 歯並びは、内側と外側の力のつり合いで決まる
  2. 舌の正しい位置を知っていますか
  3. 口呼吸が続くと起こること
  4. まず鼻がつまっていないか
  5. 自分でできる練習
  6. 子どもの場合は時期があります
  7. 大人になってからでもできること
  8. まとめ|まず鼻の通りを確認してください

1. 歯並びは、内側と外側の力のつり合いで決まる

歯は、骨の中で完全に固定されているわけではありません。内側からは舌が押し、外側からは唇と頬が押しています。この二つの力がつり合ったところに歯は並びます。どちらかが弱かったり強かったりすると、歯はつり合いの取れる位置へ動いていきます。

口が開いていると、外側の力が抜けます

口を閉じているとき、唇は歯を外側から軽く押さえています。口が開いたままだとこの力が働かず、内側からの舌の力だけが残ります。その結果、前歯が前へ押し出されやすくなります。出っ歯の傾向が生まれる仕組みのひとつです。

歯並びを決めている二つの力 つり合い で決まります 内側からの力 舌が押す力 外側からの力 唇と頬が押さえる力 口が開くと 外側の力が抜けてしまう 影響の出方には個人差があります

▲ どちらかが崩れると、歯は動いていきます

2. 舌の正しい位置を知っていますか

何もしていないとき、舌はどこにありますか。正しい位置は、舌全体が上あごに触れ、舌の先が前歯のすぐ後ろの少しふくらんだ部分に軽く付いている状態です。この位置にあると、舌は上あごを内側から支え、あごが広がるのを助けます。

下がった舌は下の歯を押します

舌が下あごの底に落ちていると、上あごを支える力が働きません。そのぶん上あごの幅が狭くなりやすく、歯の並ぶ場所が足りなくなります。同時に、下の前歯を内側から押し続けることになります。

舌の位置による違い 上あごに付いている ・上あごを内側から支える ・あごが広がるのを助ける ・自然に口を閉じやすい ・飲み込む動きが安定する ・鼻で呼吸しやすい 下に落ちている ・上あごを支える力が働かない ・あごの幅が狭くなりやすい ・下の前歯を内側から押す ・口が開きやすくなる ・口で呼吸する癖につながる

▲ 無意識のときにどこにあるかが問われます

3. 口呼吸が続くと起こること

口で呼吸すると、空気が直接口の中を通ります。唾液が乾き、細菌が増えやすい状態が続きます。むし歯や歯周病が進みやすくなり、口臭の原因にもなります。また、鼻という空気を温め湿らせる装置を通さないため、のどにも負担がかかります。

歯並び以外への影響もあります

睡眠中に口が開いていると、いびきや睡眠の質の低下につながることがあります。朝起きたときにのどが痛い、口の中がねばつく、といった症状に心当たりがあれば、就寝中に口が開いている可能性があります。

口呼吸が及ぼす影響 1 口の中が乾く 唾液の働きが落ち むし歯が増える 2 歯ぐきが腫れる 前歯の歯ぐきが 赤くなりやすい 3 歯並びへの影響 前歯が前へ あごが狭くなる 4 睡眠の質 いびき・のどの渇き 朝の不調にも 影響の程度や現れ方には個人差があります

▲ 歯並びだけの問題ではありません

4. まず鼻がつまっていないか

口呼吸を癖と決めつける前に、確認すべきことがあります。鼻で呼吸できない事情があるかどうかです。アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、扁桃やアデノイドの肥大。こうした原因がある場合、口を閉じなさいと言っても本人は苦しいだけです。

耳鼻科との連携が必要なことがあります

鼻の通りに問題があると考えられる場合は、耳鼻咽喉科の受診をおすすめしています。そちらで原因が解消されてから、口を閉じる練習に入るという順番になります。歯科だけで完結しないことがあるという点は、あらかじめお伝えしておきます。

確認と対応の順番 1 鼻の通りを確認 つまっていないか 2 原因への対応 必要なら耳鼻科へ 3 舌の位置を覚える 上あごに付ける練習 4 口を閉じる習慣 日常で意識していく 必要に応じて耳鼻咽喉科の受診をおすすめします

▲ 原因を確かめずに練習だけ始めても続きません

5. 自分でできる練習

舌の位置は、意識すれば変えられます。まず、何もしていないときに舌が上あごに付いているかを確かめてください。付いていなければ、上あごに軽く吸い付けるようにしてみます。慣れないうちは疲れますが、繰り返すうちに自然な位置になっていきます。

唇を閉じる力も鍛えられます

口を閉じ続けるには、唇の力も必要です。口の周りの筋肉を動かす体操が知られており、当院でもご案内しています。地味な取り組みですが、装置に頼らずできることとして、まずここから始めていただくことが多くあります。効果を実感するまでには時間がかかりますので、短期間で判断せず、数か月単位で続けていただくことをおすすめします。検診のたびに変化を確認していきますので、続けられているかどうかも含めてお話しください。

確認してみてください 気づくと口が開いている 朝、のどが渇いている・痛い いびきをかく 唇が乾燥しやすい 食べるときにくちゃくちゃ音がする 舌が下あごに落ちている お子さんだけでなく、大人の方にも当てはまる内容です

▲ 当てはまる項目があれば、一度ご相談ください

6. 子どもの場合は時期があります

あごが成長している時期であれば、正しい舌の位置と鼻呼吸を身につけることが、その後の歯並びに影響します。成長を利用できるのはこの時期だけです。逆に、成長が終わってから同じことをしても、歯並びそのものを大きく変えることはできません。

装置を使う方法もあります

口の周りの筋肉と舌の位置を整えるための装置があります。当院で扱っているプレオルソもそのひとつで、取り外し式で家庭でも使えます。ただし装着時間を守れるかどうかが結果を左右しますので、お子さん本人とご家族の協力が前提になります。

年齢による対応の違い 幼児期 習慣づけ 鼻呼吸と舌の位置 まず原因を確認 学童期 成長を利用 あごが広がる時期 装置も選択肢に 中高生 並びを整える 永久歯がそろう 矯正で対応する 大人 維持と管理 成長は終了 乾燥対策と矯正 適した時期や方法は、お口の状態によって異なります

▲ 成長を利用できる時期は限られています

7. 大人になってからでもできること

成長が終わっていても、口呼吸を改めることには意味があります。口の中の乾燥が減れば、むし歯や歯周病の進みやすさが変わります。また、矯正治療を受ける場合、舌の癖が残っていると治療後に後戻りしやすくなりますので、そこを整えておく必要があります。

矯正の結果を保つためにも

せっかく並べた歯も、舌で押し続ければ元へ戻ろうとします。矯正の前後で舌の位置や飲み込み方を見直していただくのは、このためです。保定装置と合わせて、力の向きそのものを変えておくことが安定につながります。

子どもと大人でできること 比較項目 子ども 大人 あごの成長 利用できる 終わっている 歯並びへの効果 土台から変えられる 並びは矯正で対応 舌の位置 習慣づけしやすい 意識すれば変えられる 乾燥への対策 有効 有効 後戻りの予防 将来に効く 矯正の結果を保つ 装置 プレオルソなど 矯正装置と保定装置

▲ 大人でも、できることは残っています

まとめ|まず鼻の通りを確認してください

歯は、内側から押す舌の力と、外側から押さえる唇や頬の力がつり合ったところに並びます。口が開いたままだと外側の力が抜け、前歯が前へ押し出されやすくなります。また舌が下あごに落ちていると上あごを支える力が働かず、あごの幅が狭くなりやすくなります。

ただし、鼻がつまっていて口を閉じられない場合、口を閉じるよう言っても本人は苦しいだけです。まず鼻の通りを確認し、必要があれば耳鼻咽喉科の受診をおすすめしています。お子さんの場合はあごの成長を利用できる時期が限られており、装置を使う方法もあります。装置を用いる小児矯正は自由診療(保険適用外)です。効果や必要な対応には個人差がありますので、気になることがあれば大阪市西区・九条のうえすぎ歯科クリニックまでご相談ください。

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出典・参考資料

  • 公益社団法人 日本小児歯科学会
  • 公益社団法人 日本矯正歯科学会
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」
  • 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療の経過・効果には個人差があります。本記事で扱う治療には自由診療(保険適用外)が含まれます。詳しくは歯科医師にご相談ください。