鏡を見ていて、前歯のうち1本だけ色が違うことに気づいた。写真に写ったときに、そこだけ暗く見える——大阪市西区・九条の当院でも、こうしたご相談をいただきます。
1本だけ色が変わる場合、原因はほぼ決まっています。そして、通常のホワイトニングでは白くなりません。この記事では、なぜその歯だけ色が変わるのか、そしてどうすれば戻せるのかをご説明します。
目次
- 1本だけ違う色になる理由
- ぶつけた記憶が何年も前でも
- 通常のホワイトニングでは白くなりません
- まず根の状態を確認します
- 覆う方法もあります
- 神経を失った歯は、割れやすい
- 気づいたら早めにご相談ください
- まとめ|外からのホワイトニングでは戻りません
1. 1本だけ違う色になる理由
歯の内側には神経と血管が通っています。強くぶつけた、深いむし歯が神経に達した、根の治療を受けた。こうした理由でこの組織が失われると、その歯の内部で変化が起こり、時間をかけて色が濃くなっていきます。外側からの着色ではありません。
内側から色が変わっています
神経とともに通っていた血液の成分が、歯の内部の細かい管に入り込んで変色の原因になります。また、水分や栄養の供給が止まることで、歯の質そのものも変化します。表面を磨いても、外から薬剤を塗っても届かないのはこのためです。
▲ いずれも、内側で起きた変化によるものです
2. ぶつけた記憶が何年も前でも
外傷による変色は、ぶつけてすぐに現れるとは限りません。数か月後、あるいは数年経ってから色が変わりはじめることがあります。子どものころにぶつけた歯が、大人になってから変色してきた、というのは珍しい話ではありません。
痛みがなくても炎症が起きていることがあります
神経が失われた歯は、痛みを感じません。しかし内部で細菌が増えれば、根の先の骨に炎症が広がっていきます。この状態は自覚症状がないままレントゲンで見つかることが多くあります。色の変化は、その手がかりのひとつです。
▲ 何年も経ってから現れることがあります
3. 通常のホワイトニングでは白くなりません
一般的なホワイトニングは、歯の外側から薬剤を作用させる方法です。加齢による全体的な黄ばみには有効ですが、内側から変色した歯には効きません。周りの歯だけが明るくなると、その1本の暗さがかえって目立つことになります。
内側から漂白する方法があります
神経を失った歯には、歯の内部に薬剤を入れて、内側から色を戻す方法があります。根の治療が済んでいることが前提です。歯の裏側に小さな穴を開けて薬剤を入れ、数日ごとに交換しながら経過を見ます。数回の通院が必要になります。表側を削らずに済むため、歯へのダメージが小さいことが利点です。ただし、どこまで戻るかは変色の程度や原因によって差があり、思ったほど明るくならないこともあります。始める前に、期待できる範囲をお伝えします。
▲ 変色の原因が違うため、方法も変わります
4. まず根の状態を確認します
色を戻す処置に入る前に、その歯の根がどうなっているかを確かめます。根の治療が済んでいるか、根の先に炎症がないか、詰められた材料に問題がないか。ここに問題があれば、先にそちらの治療が必要です。見た目だけを整えても、原因は残ります。
やり直しが必要なこともあります
以前の根の治療が不十分であれば、あらためて治療をやり直すことになります。遠回りに感じられるかもしれませんが、根の状態が落ち着いていなければ、せっかく白くしても後から腫れや痛みが出ることがあります。順番を守る意味はここにあります。
▲ 根の状態を確認してから、色の処置に入ります
5. 覆う方法もあります
漂白で十分に戻らない場合や、歯の一部が欠けている場合には、表面を材料で覆う方法があります。歯の表面を薄く削って薄い板状のセラミックを貼る方法と、全体を覆う被せ物にする方法です。削る量が違うため、状態に応じて選びます。
削る量は少ないほうがよい
覆う処置は確実に見た目を整えられますが、健康な歯を削ることになります。まず漂白を試し、それで足りない場合に覆う方法を検討する、という順序をおすすめしています。どちらも自由診療(保険適用外)です。
▲ まず削らない方法から検討します
6. 神経を失った歯は、割れやすい
見た目の話とは別に、押さえておいていただきたい点があります。神経を失った歯は水分を失い、もろくなります。前歯であっても、強い力がかかれば割れることがあります。色が気になる歯は、同時に割れやすい歯でもあります。
被せて守るという判断もあります
残っている歯の量が少ない場合には、色の問題とは別に、割れを防ぐために覆ったほうがよいことがあります。漂白だけで済ませるか、覆って守るかは、残っている歯の量とかかる力から判断します。
▲ 色の相談から、割れやすさの話につながることがあります
7. 気づいたら早めにご相談ください
色の変化は、内部で何かが起きているサインです。見た目の問題として相談してくださって構いませんが、その裏で根の先に炎症が進んでいることもあります。早い段階であれば、対応も小さく済みます。
お子さんの場合は特に
乳歯をぶつけた場合、下にある永久歯に影響が及んでいることがあります。また、生えたばかりの永久歯をぶつけた場合は、根がまだ完成していないため対応が変わります。ぶつけた記録を残しておいていただけると、後々の判断に役立ちます。いつ、どこを、どのようにぶつけたのか。簡単なメモと、可能であれば当日の写真があると十分です。
▲ 見た目の相談として来ていただいて構いません
まとめ|外からのホワイトニングでは戻りません
1本だけ色が濃くなる場合、その多くは神経を失った歯です。ぶつけた、深いむし歯が神経に達した、根の治療を受けた、といった理由で内部の組織が失われ、内側から色が変わっていきます。外側から作用させる通常のホワイトニングでは白くなりません。
神経を失った歯には、歯の内部に薬剤を入れて内側から色を戻す方法があります。ただし根の治療が済んでいることが前提で、根の先に炎症がある場合は先にそちらの治療が必要です。漂白で足りない場合には表面を覆う方法もありますが、健康な歯を削ることになるため、まず削らない方法から検討します。いずれも自由診療(保険適用外)で、戻る程度には個人差があります。色の変化は内部のサインでもありますので、大阪市西区・九条のうえすぎ歯科クリニックまでご相談ください。
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出典・参考資料
- 一般社団法人 日本歯内療法学会
- 特定非営利活動法人 日本歯科審美学会
- 公益社団法人 日本小児歯科学会
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療の経過・効果には個人差があります。本記事で扱う治療には自由診療(保険適用外)が含まれます。詳しくは歯科医師にご相談ください。








